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”意欲”は生きる力

「いつまでも口から食べられる京の町づくり」という府民公開講座に行きました。

主催は京滋摂食嚥下を考える会、京都府医師会が共催、京都府歯科医師会が後援の助成事業でした。

 

京滋摂食嚥下を考える会多くの歯科医、歯科衛生士、看護師、作業療法士、管理栄養士などの専門職が集まって、連携を進めている全国でもまれに見る活動をするところというご説明でした。

 

 65歳以上の歯科受診率が急速に低下するというのですが、それは「通院ができない」「歯がない」などが原因ではないかということです。実は食べることに問題がありながら、歯科医として関われていなかったということです。

歯科医は噛めないことを治療して、噛めるようにできるけれど、食べる意欲や飲み込む機能などにに踏み込めなかったという反省があったそうです。

 

 そこで訪問歯科として自宅や病院、施設などに出かけていき、接触頻度を上げることで、食べられない原因が噛めないことだけでないことに気づかされたそうです。

 この会を基軸に摂食嚥下について、私たちが連絡相談をできる窓口がいくつか設置されているようですが、知る限りでは有効に生かされていないように思えて残念です。

 

 リハビリは施術方法や器具、理論などが充実していても、ご本人の”意欲”がなければ効果がないとお話しされていたのが印象的でした。

興味や関心を持つこと、価値や意味を見いだすこと、「できる」と感じることで”意欲”が湧くのだそうです。

 

 医療や制度が充実していても、「生きる」という強い”意欲”がなければ、状況は変わりません。

まずは自身が「どうしたいのか」「何を望んでいるのか」そのためにはどうすれば良いのかを整理して、自分の”意欲”を注げるものに出会うことが充実した生活に近づく方法なのではないでしょうか。

 

 京滋摂食嚥下を考える会は食べやすい食器、京料理にお茶、和菓子や介護酒(?)まで本職の方々と研究開発をされているそうです。いつまでも「美味しい」と言えるようになりたいですね。